各部・診療科

下肢静脈瘤外来

下肢静脈瘤外来

下肢静脈瘤外来を紹介します。


 「下肢静脈瘤」は脚の静脈の弁が壊れてしまい、血液が逆流してよどんでしまうことによって起こります。脚の静脈がコブのようにふくらんだり蛇行してくる病気、これが下肢静脈瘤です。

 統計によれば、軽症の方を含めると日本人の成人の1050%に下肢静脈瘤が認められており、その割合は年齢が上がるにつれて増加傾向です。これほど多い病気なのに、これまであまり知られていなかったのはなぜでしょうか?ひとつは専門に治療に取り組む医師が少ないこと、一般の医師が静脈瘤について十分な知識を持っていないため患者さんに対して適切なアドバイスができないこと、悪性の病気ではなく、歩けなくなるわけもないので、患者さん自身が治療をあきらめてしまうこと、などがその理由でしょうか。下肢静脈瘤が気になる方は、ぜひ一度下肢静脈瘤外来で御相談いただければと思います。


 静脈瘤発生のメカニズム:人は立った状態でも脚の静脈の中の血液は重力に逆らって心臓まで上っていきます。これは静脈弁とよばれる逆流防止弁のついた血管を、筋肉が収縮運動によるポンプの働き(マッスルポンプ)で、静脈内の血液を心臓に向かって押し上げているのです。脚の静脈には筋肉の中を走る深部静脈と、脚の表面の皮下を走る表在静脈があります。脚の表在静脈の静脈弁がこわれて(弁不全を来たして)血液の逆流、よどみがおきることで下肢静脈瘤が発生するのです。

 
下肢静脈瘤の誘因、なりやすい人:もっとも多い誘因は妊娠と立ち仕事です。ほかに肥満、運動不足、下肢の怪我、遺伝的素因などが要因とされています。

 下肢静脈瘤の症状


1.外見。血管が浮き出ているため、見た目にみっともない、気持ち悪い、スカートがはけないなど、外見上の悩みを訴えられる方が多くおられます。ふくらはぎの静脈瘤で他に症状がなければ、家族の人から指摘されて気づくことも多いでしょう。


2.足のむくみ。下肢静脈瘤によるむくみは午後から夜にかけて悪化します。足のむくみは様々な内科的疾患により起こりますが、下肢静脈瘤が足のむくみを来たしている事があります。脚に血液がうっ滞することによって、脚が張る感じ、腫れているとかんじることもあります。


3.脚の重さ、つかれやすい、ほてる。あし、とくにふくらはぎが疲れて重だるい感じがして、もんだりたたいたりしたくなる症状です。下肢静脈瘤の患者さんでは、あしの静脈のうっ滞によりこのような症状がおこります。下肢静脈瘤が原因の場合、症状は午後から夜に悪化します。


4.こむら返り、足がつる。下肢静脈瘤のひとは脚の血液循環が悪化するため、ふくらはぎや、足がつりやすくなります。歩行時におきることや、夜とくに明け方にこむら返りを起こすこともあります。


5.かゆみ、湿疹、皮膚炎。
足首の周囲や静脈瘤の周囲に起こります。これは脚の静脈の血液が長時間にわたりうっ滞することによって起きるため、「うっ滞性皮膚炎」といわれています。進行すると皮膚の表面がザラザラしてかゆみを伴います。茶色い色がつく場合もあります。また皮膚が赤くなって腫れた後、皮膚の表面が固く黒くなることがあります。


6.潰瘍。
うっ滞性皮膚炎を来たしたまま何年も経過すると、皮膚が弱くなり、皮膚が怪我や引っかき傷を引き金にして、いわゆる「うっ滞性潰瘍」を起こします。もっとも重症化した下肢静脈瘤で、こうなると日常生活に支障を来たし、潰瘍からばい菌が入ると脚が赤くはれ上がって入院が必要になることもあります。その場合も、下肢静脈瘤の治療をすることで、潰瘍が消退することもあります。

 
下肢静脈瘤の検査:表在静脈の逆流はドップラー検査で簡単に調べることができます。また下肢静脈瘤の診断・治療にかかせないのは超音波検査です。超音波検査はゼリーをぬって機械をあてるだけなので、患者さんの身体に影響はなく、いってみれば聴診器をあてるのと同じです。当院では経験を積んだ専門の検査技師が、血管専用のプローブを備えた最新鋭の装置を用いて検査にあたっています。

 


 下肢静脈瘤の治療:


保存的治療(手術以外の治療法)。保存治療のまず第1下肢挙上です。立ち仕事のときは1時間たっていたら5分から10分間、座ったり、横になって、あしを上げて休息をとりましょう。就寝時には脚のしたに枕や座布団をおいて、心臓より少しあしを高くして休んでください。うっ滞性皮膚炎をきたしている場合、怪我などの傷が治りにくくなりますので、引っ掻いたり、傷を作らないように注意しましょう。かゆみを抑える軟膏などを使用するのもひとつです。次にもうひとつ重要な保存治療は、弾性ストッキングの着用です。すでに下肢静脈瘤ができている場合は、下肢静脈瘤治療のための圧迫力の強い医療用弾性ストッキングが推奨されます。弾性ストッキングを選ぶときに大切なことは、医師の指示により、患者さんのあしにぴったりの適正サイズのものを使用することです。当院では実際に着用を試していただいて、適正なものを準備できるよう、担当看護師が案内しています。


積極的治療。保存的治療により、下肢静脈瘤の進行をおさえ、瘤によるさまざまな症状の軽減を図ることができますが、すでにできている下肢静脈瘤自体が消失することまでは期待できません。そこで下肢静脈瘤自体をなくするための積極的治療に取り組んでいます。検査の結果を参考にしながら、下肢静脈瘤の進行具合と患者さんの希望により、最適の治療法の選択を心がけております。またいずれも保険診療ですので、健康保険で安全に治療ができます。


1.
 静脈結紮術。逆流の原因となる静脈を局所麻酔で皮膚切開し縛ってしまう治療法です。切開の傷は数cm程度で溶ける糸で埋没縫合しますので抜糸も不要で痕も目立ちません。局所麻酔なので日帰りでできます。

2. ストリッピング手術、静脈瘤切除術。弁が壊れて逆流している静脈や静脈瘤の血管を抜き取る手術です。全身麻酔で行いますので痛みを感じることなく手術が終わります。日帰り手術も可能ですが、一泊入院をおすすめしています。

3. 硬化療法。硬化剤を静脈瘤内に注入して、瘤を血栓化させてつぶし、最終的には線維化、器質化させて病気の静脈をなくす治療です。細い通常の採血に使う針よりもさらに細い針を使用しますので、痛みも少なく、傷跡も残らず、外来治療で所要時間も正味20分ほどで終了します。本邦で一番効果の高いポリドカノールという薬剤を投与します。比較的太い静脈瘤から、細い網目状静脈瘤までひろく対応可能です。治療後は48時間圧迫包帯を巻きますが、安静は不要、直後から歩行可能で、普通に生活できます。再発予防のため、治療後はしばらく弾性ストッキングの着用をおすすめしています。

4. レーザー治療。当院では今のところ上記の1から3の治療で、患者さんに十分満足していただける対応ができると考え、レーザー治療については導入検討段階です。レーザー治療は比較的太い表在静脈が逆流している場合が対象になります。超音波検査で静脈を見ながら、細いレーザーファイバーを静脈の中に入れて、血管の内側からのレーザー焼灼で静脈を閉塞させる治療です(皮膚科治療などで行っている皮膚表面からあてるレーザーとは異なります)。局所麻酔でも可能で、傷跡が残りません。保険診療ですが、特殊機材を使用する分、費用面では硬化療法などより負担が生じます。

 

以上、当院の下肢静脈瘤外来を紹介しました。お困りの方は、一度気軽に御相談ください。

診療担当医

 

  医師名 役職
石坂 透 副院長