各部・診療科

糖尿病内科

糖尿病にかかると糖尿病に特徴的な三大合併症とよばれる網膜症、腎症、神経症からおこる失明、透析、下肢切断だけでなく、脳卒中、心筋梗塞や認知症、癌なども発症しやすくなるので怖い病気だと思われていますが、実際に治療を受ける人は糖尿病患者さんの半分くらいにしかなりません。糖尿病を指摘され治療を受け始めても一年後には60%の人が治療を中断、特に50歳以下の患者さんの治療脱落率は1年で80%にもなります(80%の患者さんが治療を中断してしまいます)。怖い病気だとわかっていながら何故治療を受けないのでしょうか? ここに糖尿病の本当の恐ろしさが潜んでいます。糖尿病が怖い本当の理由とは、合併症が悪化するまでほとんど症状がないことです。いや、むしろ血液中の血糖値が少々高いほうが気持ちが良い、体調が良いと感じることが糖尿病の本当に恐ろしい理由です。

糖尿病という病気は血中の血糖値で診断します。血糖値とは血中のブドウ糖濃度で、空腹時の血糖値が126/dl以上もしくは食後など随時の血糖値が200/dl以上の時糖尿病と診断し治療を始めます。健常人ではこの血糖値が食後でも140/dlを超えることはありません(図1)。体の状態を維持するために膵臓より絶え間なくインスリンというホルモンが分泌されています、これを基礎インスリン分泌と呼びます。そして食事とともに追加インスリンが分泌され、健常人ではどんなに沢山食べても、肝臓が血中のブドウ糖濃度を調節し血糖が140/dlを超えないようにしています。また、空腹時では血糖値が下がらないように肝臓からブドウ糖が産出され血糖値は70-/dl以下にならないように調節されています(ブドウ糖の量であらわすと、循環血液量は大体5Lですから皆さんの体の血液の中のブドウ糖は約3.57gの間に調節されています)。


(図1)



ブドウ糖はなぜこんなに狭い範囲に調節されなければならないのでしょうか?それはブドウ糖が多すぎると体に悪いからです。このブドウ糖は血中では99.976%がきわめて安定した亀の甲のような形をとっていてほとんど反応しません。しかし開裂して鎖状の形になったときは激しく反応しますが、その割合は血中ブドウ糖のわずか0.024%にすぎません(図2)。


(図2)


人の大脳はエネルギー源として(特殊な場合を除き)ブドウ糖しか利用しません。大脳は血液中を流れているブドウ糖3.57gの中のたった0.024%で活動しています、だから大脳は低血糖に弱く、血糖値が下がれば意識障害や脳障害を起こします。そのため、人間には低血糖を防ぐ防御機能が幾重にも張り巡らされています。また大脳はンスリン非依存性組織(インスリンというホルモンに関係なくブドウ糖濃度によりブドウ糖が細胞内に取り込まれる)ですので血糖が上がればブドウ糖がダイレクトに大脳の中に流れこんできます(体のほとんどの組織はインスリンによってブドウ糖が細胞内に取り込まれます。これをインスリン依存性と呼び、糖尿病ではインスリンの働きが低下していますので血糖値が上がってもそんなには細胞内に流入しません)。血糖が上がりエネルギー源のブドウ糖がどんどん入ってくると大脳には都合がよいので気持ちよく感じます。この、少々血糖が高いほうが気持ちが良い、快適に感じるというのが糖尿病の本当に怖い理由です。

おいしいものを食べられないのなら生きている楽しみがないと多くの人が、誕生日やクリスマス、お正月、宴会などで我慢しきれず食事を多くとります。そして病院の血液検査で血糖が上がっていると指摘される、でも体調はきわめてよい、だから私の糖尿病は少々血糖が高いほうがいいのだと思ってしまいます。そしてまた忙しい世の中ですから、何らかの理由で糖尿病の治療を中断することがあります。しばらく様子を見て体調が悪くなれば、どこかおかしくなれば病院に行こうと思うのですが、薬を飲まなくても体調が悪くなるどころか逆に気持ちよく感じるようになります。そして治療を中断し、月日がたって症状が出てきた時に病院に行きますが、その時はもう手遅れなのです。失明寸前、透析寸前になるまで症状は出てこないのです。だから糖尿病は怖いのです。治療をしないとあちこち痛くなったり調子が悪くなれば治療中断は少なくなるのですが、かえって調子よく感じるのが糖尿病の本当に怖い理由です。糖尿病と診断された方はこのことを忘れずに、治療を中断することなくかかりつけの医院や病院に通院してください。

 治療を中断することなく続けるためには糖尿病に対する正しい知識をつけるとともに、糖尿病に対する正しい習慣を身につけなければなりません。そのために当院では1週間コースの糖尿病教育入院を実施しています(表1教育入院日程表)。1週間の間に糖尿病の勉強と食事運動療法の実際や合併症の検査をします。糖尿病の方は自分の体のために1週間という時間を作り糖尿病教育入院に参加してください。
 また、当院では治療中断を防ぎ合併症を調べるために医院やクリニックの先生方と地域連携をつくり患者さんがいつでも検査、治療を受けられる態勢を整えています。お近くの医院やクリニックの先生に相談すれば当院へ紹介してもらえますので是非ご相談ください。


(表1教育入院日程表)

診療担当医

 

  医師名 役職
朴 孝憲 副院長
  御簾 博文 医師


このページのトップヘ